④国家資格の勉強

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農協に就職

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私が高校を卒業する頃、世の中はバブル景気で就職戦線も売り手市場。高校では全く勉強をしなかった私でしたが、時代の流れのおかげで何の苦労もなく農協への就職が決まりました。

最初の3年ほどは、目の前の仕事をコツコツ頑張っていましたが、慣れてくると「何で農協は~なのか」「どうしていつまで経っても変わらないのか」などと、農協に対する不満が出てきました。しかし農協は、そこいらの会社より遥かに固い超保守企業です。自分の声でそう簡単に変わるものではありません。

そうなると①長い年月をかけてでも変える方向で頑張るか、②長い物には巻かれろ的に会社に合せるか、③外に出て自分のやりたいことを新たに探すか、選択肢はその3つということになりました。

真剣に考えたところ、超保守の農協を自分で変えるのは難しいし、だからとって会社に合わせることもできないとなれば、自分が出て行くしかないな、と思いました。しかし、学歴も資格も実績も無い状態で退職したところで、大して良い仕事は見つけられないと思いました。そこで私は、宅建という資格を取得した上で、農協を退職することにしました。

宅建受験

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当時21歳で農協に勤めていた私は「何かは分からないけど、とにかく自分の力で生きて行きたい」と思い、農協を退職することを決めました。

しかし当時の私は、学歴も資格も自信も勇気も何も無い状態でしたので、まずは自信と資格と勇気を得るために、農協の仕事を続けながら宅建の資格を取ることにしました。

宅建とは「宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)」の略称で、不動産を取引する際に仲介役を果たす国家資格です。宅建の合格率は約15%ですが、それまで全く勉強をしてこなかった私には相当高いハードルのように感じられました。しかし、一旦やると決めた以上、引くわけにはいきません。

私はそれまでの人生で一度も本気で何かにチャンレンジした経験がなかったので、この時は本当に身震いがしました。多くの人は、学生時代のどこかで本気の勉強を経験するのだと思いますが、私の本気の勉強は平成5年11月から始まりました。

当時は、勉強のペース配分や勉強方法が全く分かりませんでしたが「死ぬ気でやってやる」というくらいの勢いがありましたので「勉強方法なんてやってたら分かってくる!」といった調子で、分厚い基本書を最初からとにかく書きまくりました。

今から思えば最悪の勉強方法ですが、当時の私は効率的な勉強方法を全く知りませんでしたし、手を動かしていないと不安だったので、仕方ありませんでした。

全部書くと普通は相当の時間がかかりますが、当時は勢いがあったので1日12~15ページのペースで書き写し、約600ページの基本書を約2か月で書き終えました。

勉強を始めた頃は、基本的な言葉すら分からない状態でしたので、基本書の横にいつも国語辞典と法律用語辞典を置いて、分からない言葉を見つけるたびに調べました。

私はそれまで、辞書を引く作業は苦痛だけだと思っていましたが、本気で「覚えたい」と思って勉強すると、新しいことを覚えていくのが楽しくなってきました。

やればやるほど「覚えている」「前に進んでいる」「これを続ければ必ず合格できる」といった充実感に満ち溢れてきました。実際は、そう簡単に成功できるほど世の中は甘くないのですが、誰でも最初から全てが見通せているわけではありません。

若い時は、霧がかかって先が見えないような中でも強引に前に進んでいく「がむしゃらさ」があった方が良いと思います。

世の中には、勉強の基盤となる生活を支えてくれて、効率的な勉強方法を教えてくれて、必要な教材や学校の手配をしてくれて、成功を信じて温かく応援してくれる、そんな協力者が身近にいる恵まれた人もいます。

しかし、そうでない人は、自力で這い上がらなければなりません。当時の私は、親に応援してもらうどころか「今更そんな勉強をして何になる」「世の中はそんなに甘くない」「現実を見て、今やっている仕事をすればいいんだ」などと勉強自体に反対されて家を出ていました。

そんな状態だと、成功への最短コースどころか、回り道・遠回り・非効率の連続です。そんな自分の環境を一時不幸に感じたこともありました。

しかし、振り返ってみると、その回り道が自分を強く育てた側面もあると思いました。私が尊敬する歌手の矢沢永吉さんはこの点を「近道をした時には近道に潰される」と話していました。

これから何かにチャンレンジする方にはとても参考になる動画がありましたので以下にご紹介します。(17:53~23:45の辺りをご覧ください)

さて、基本書を2か月勉強した後は過去問です。どの対策本にも過去問が一番重要と書いているので、最も新しい過去問だけは最後の実力確認用に残して、その他の過去問を解きまくりました。

5回ほど回すのに2~3か月くらいかかりましたが、繰り返したおかげで「とりあえず過去問は解ける」という自信を得るところまでは何とかたどり着くことができました。

そこで、最後まで解かずに残していた最も新しい年度の過去問を、模擬試験として解いてみました。結果は、合格点より2~3点ほど多い点でした。

このとき、勉強を始めて約5か月経過した平成6年3月頃でしたから、10月の試験までには9カ月も時間があります。「5か月で合格点を取れて、しかも残り時間は9カ月もある。これなら大丈夫!」私はそう思いました。しかし、私のこの考えは間違っていました。

私が勤務する農協では、毎年共済(保険のようなもの)のノルマが課せられ、基本的には年度が始まる4月から11月までの間に必ず達成することが求められていました。私は勤務する支所の渉外担当者としてこのノルマの達成を絶対に達成しなければならない立場にいましたので、まずはノルマの早期達成に集中することにしました。

9月末までにノルマを終わらせて、最後の2週間集中して勉強したら合格レベルに持っていけるだろう。」そう思っていました。

そうして迎えた平成6年の宅建試験。結果は1点足りずに不合格。原因は、共済のノルマの達成が10月まで遅れて、試験直前期に十分な勉強ができなかったことだと思います。仕事と勉強を両立させるのは結構大変です。社会人になると、まずは与えられた仕事をこなさなければなりません。

たとえ農協を辞めると決めていても、それを理由に与えられた仕事をしないような人間ながら、辞めてもまず成功できません。そう思って仕事を頑張り、結果的に試験に落ちました。

落ちた言い訳はいくらでもできますが、それをしたら本当に負けです。ですから、謙虚に失敗の原因を考えました。「やろうと思えばあんなこともできた、こんなこともできた・・・」反省点はいくらでも出てきました。落ちたのは自分が甘かったからです。

失敗した時こそ学ぶことが多く、次の成功へのステップが見えてくる、といったような言葉はよく聞きますが、本当にその通りだと思います。不合格となった私は「退職は時期尚早」と思い直し、全てをやり直すことにしました。そして翌年、ノルマを早期に達成して宅建にも合格。そして予定したとおりに農協を退職しました。

測量士補と行政書士

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宅建に合格して農協を退職したものの、私は未だ明確な目的や目標を決められずにいました。ただ、大筋として「司法書士か土地家屋調査士が面白いのでは」と考えていましたので、自分自身の気持ちや方向性をハッキリさせるため、一般に司法書士のワンランク下の資格と位置付けられる行政書士と、土地家屋調査士試験の一次試験の免除の要件となる測量士補の試験を受けることにしました。

行政書士は、私が今まさに仕事として使っている国家資格で、変動の激しい合格率はおおよそ6~9%です。測量士補は、文字通り測量に関する国家資格で、合格率はおおよそ20~25%です。

それまで資格試験のために学校に通った経験がなかった私は、ぜひ一度受講してみたいと思い、行政書士と測量士補の講座をそれぞれ申し込みました。

どちらも実際に通学するタイプの講座でしたが、結論から言うとほとんど役に立ちませんでした。

行政書士の講座は一般的な集団授業で「最初に講義を受けてその後に小テストと解説」という流れでしたが、とても合格者を輩出できるとは思えない内容でした。行政書士試験では、多数の法律から各種一般教養まで幅広い知識を問われますが、その広範囲の中のどこがどんな風に問われる可能性が高いのか、そういった点を分析して教えなければ合格には近づきません。

また、私が最も重要だと思う「勉強のペース配分」に関する指導も全く無くてがっかりしました。いつまでにどの科目をどこまでこなし、いつまでにどのくらいの成果をどうやって出すのか。

そういった目安は何も無いのです。私は「行政書士試験の出題範囲の予想は結構難しい」と思ったからこそ、お金を出して受講したのですが、現実は受講する生徒の方がよっぽど出題範囲の予想ができていました。

簡単な試験なら授業の中で合格できる範囲の知識が得られますが、合格率が10%を切るレベルの試験を受ける場合は、本格的な試験対策をしている学校を選ばないとお金の無駄になります。

ちなみに、その学校の先生は行政書士の合格者ではなく、その年学校から一人の合格者も出ませんでした。

それなりのお金を払って学校に通えば合必ず格に近づくと思うのは大きな勘違いです。試験と学校のレベルを見抜けないまま先生を信じて受験すると、間違いなく落ちます。学校と家を往復する時間も無駄、肝心の講義の時間も無駄。それが現実です。

次に、測量士補の講座ですが、これは今まで最悪でした。5人ほどの生徒に過去問の解説ビデオを一通り流す。それだけです。

有名な指導校なので、それなりに役立つだろうと思って受講しましたが、ほとんど役に立ちませんでした。過去問題集を買って、自分のペースで勉強を進めた方がよっぽど効果的だと思いました。こんな調子ですから、合格者は受講生5人のうち1人だけでした。(残念ながら私ではありません)

以上のように、学校に通ったら必ず合格の確率が高くなるというわけではありません。反対に、合格の邪魔になることがあります。私はこのような学校を同時に受講し、どちらも不合格となりました。行政書士試験は3点、測量士補試験はわずか1点足りませんでした。

ネット上の書き込みで自信を失わないで

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ネット上には「この試験は簡単」「2週間で合格した」「一発で合格しないとおかしい」などと、誰でもすぐに合格できるかのような表記が目立ちますが、甘い言葉を信じないでください。そして、不合格になった方は必要以上に落ち込まないようにしてください。

ネット上では匿名であるのを良いことに、他人の気持ちや置かれた状況に配慮もせず、見下し、馬鹿にする人が山のようにいます。

合格は確かに称賛に値する一つの結果ですが、それが同時に人間性の高さに繋がるわけではありません。高学歴であっても素晴らしい肩書を持っていても、品性のかけらもない人はたくさんいます。

短期間で合格する人は凄いと私も思いますが、同時に、仕事や家事や子育てをしながら僅かな時間の中でコツコツ積み重ねた数年越しの勉強の末にやっと勝ち取った合格、というのも私は凄いと思います。

ですが、現実にはそんなをほとんど知らないのに合格・不合格という表面的な結果だけで馬鹿にされ、落ち込み、自信を失ってしまう人はとても多いように思います。

もし、合格率が10~20%の試験に受験した人がみんな書き込んでいたら、普通は80~90%の人が不合格なのですから、「落ちた」という声が8~9割を占め、残りの10~20%が「合格した」という声のはずですが、ネット上では、合格者の他人の気持ちに配慮しない書き込みの方が多いように思います。

これはつまり、不合格者のほとんどが、声を出せなくなっているということではないでしょうか。しかし、そんなことで自信を失って新たなチャレンジができなくなるのはもったいないと思います。

そこで私は、あまり表には出てこない不合格の経緯を書くとにしました。前述のとおり、私は全ての資格試験で最初は落ちています。そんな私が自分の恥部を曝け出すのは、私と同じように学歴も実績もない中で、頑張っている人に諦めて欲しくないと思うからです。

私も失敗したときは相当落ち込みましたが、そんな私に勇気をくれたのは偉人たちの言葉でした。

失敗とは転ぶことではなく、そのまま起き上がらないことなのです。
メアリー・ピックフォード(女優・プロデューサー)

白状しますが、私は覚えが悪い方なので、他人の2~3倍の努力が必要です。残念ながら、これは謙遜ではなく、本当なのです。

先生の話を他人と同じように聞いても自分だけ理解できなかったり、覚えるのに他人の何倍もかかったり、文章を読むスピードが他人の倍以上かかったり・・・そのことはそれに思い悩んだ私が一番よく知っています。そしてその現実を理解した時私はどう思ったか。

他人の2~3倍頑張るしかないじゃん

そんな考え方を当たり前にしてくれたのは、多くの方々の本でした。第一線で活躍している方々の考え方は、それを表現する言葉は違っても、本質的な中身は共通しています。

成功者は「能力が無い」「失敗した」と言って諦めたりはしません。
言い訳せず、失敗した原因を探り、すぐに修正します。

行政書士と測量士補に落ちた私は翌年再度受験しました。行政書士は択一試験では合格点に達したものの「論述」に問題があり、また不合格。測量士補試験は1問だけミスして後は全問正解して合格

その結果を踏まえて私は、自分の目指す方向性を「司法書士」と決めました。理由は、測量士補にとりあえず合格したものの、基本的には数字と計算が嫌いだと思ったこと。そして反対に、試験には落ちたものの、法律の勉強をする方が面白くて自分に合っていると感じたからです。

続き・・・「司法書士の勉強を開始」

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