当塾では「何のために勉強するのか」「どうしたいのか」「どうなりたいのか」といった”目的”の明確化を図ります。目的とは「得ようとして狙う対象」あるいは「到達したい状態として意図し、行動を方向づけるもの」です。
”動機”とは厳密には違いますが、細かな区別にこだわらず「実際に生徒が行動を起こす目的や動機は何か」ということをじっくり検討していきます。
目的と言われると、つい「社会に役立つ人間になりたい」といった生真面目な回答をしがちですが、現実の行動に結びつかない程度の目的では方ありません。
ですから、最初は低レベルであっても構わないので、現実的な行動に繋がりそうな強い動機や目的をみつけていきます。
たとえば「英検に合格したら妖怪ウォッチのゲームが買ってもらえる」となったら、必死に勉強をする子供はたくさんいるはずです。
このような動機付けには「子供を物で釣るの?!」といった反対意見もあるとは思いますが、未熟な子供にいくら高尚な理想論を語っても大半の子供の心は動きません。(大人でも動かない人の方が多いと思います)
そこで私は「マズローの欲求5段階説」のように「低レベルの欲求は成長過程の第一段階」と捉え、肯定的に考えるべきだと思います。
マズロー欲求5段階説とは「人間の欲求は以下のように5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされるとより高次の階層の欲求を欲する」という考え方です。
- 第1階層「生理的欲求」
生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、寝たいなど)です。この欲求を充たせれば、次の階層「安全欲求」を求めます。 - 第2階層「安全欲求」
危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたい(雨風をしのぐ家・健康など)という欲求が含まれます。 - 第3階層「社会的欲求」
「安全欲求」を満たすと「社会的欲求」(集団に属したり、仲間が欲しくなったり)を求めます。この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなります。ここまでの欲求は、外的に充たされたいという思いから出てくる欲求です。 - 第4階層「尊厳欲求」
「社会的欲求」を満たすと、次は「尊厳欲求(承認欲求)」(他者から認められたい、尊敬されたい)という欲求が芽生えます。ここからは外的なモノではなく、内的な心を充たしたいという欲求に変わります。 - 第5段階「自己実現欲求」
「社会的欲求を満たすと「自己実現欲求」(自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなど)の欲求が生まれます。 - 真の最終段階「自己超越」
マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表しました。それは「自己超越」という段階です。「目的の遂行・達成『だけ』を純粋に求める」という領域で、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭するという領域のようです。
この考え方でいけば「妖怪ウォッチのゲームが欲しい!」という物質的な欲求や動機も「次の段階へ進むためのプロセス」ですから、動機付けの一つとして検討できると思います。